なつなつ雑記帳

It`s My Life.

【カナダ】ホームステイをしていた話


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陽が長くなるにつれて、夕焼けを眺めながら思い出すことがある。

中学生の頃、夏休みの間1ヶ月だけカナダのバンクーバーでホームステイをしていた。

もう10年以上も前のことなので当時の記憶はあやふやで、今でもはっきりと覚えていることは少ない。


ホームパーティーで飲んだ、鮮やかなオレンジ色の甘い甘いレモネード。

晩ごはんに出てきたフィリピン料理のアドボ。タイ米のご飯によく合う味付けの鶏肉料理で、食事の楽しみの一つだった。

裏庭で何気なく空を見上げて見惚れた、午後8時の夕焼け。その美しさ。

名前すらもはや思い出せないけど、バスケットボールが上手だったブロンドヘアーの、ベネズエラ出身の男の子。人懐っこい性格でいつも周りに人がいた。

中華街で食事した時、ラーメンにラー油をダバダバとかけながら「このオイルはすごく健康にいいのよ」って勧めてきたホストファミリーのおばあちゃん、今でも元気かなぁ……。

普段からやたらとココアの粉を舐めては、ご飯を食べたがらないホームステイ先の一人息子、ジェイソンくん。あの子は今頃、17歳か18歳ぐらいにはなってるんだろうか。


思い出せる記憶をこうして言葉にしながら並べていくと、あの頃の自分と周りの人達がまるで今、目の前にいるような感覚に包まれる。

思いっきり抱きしめたい人もいれば、1発強めに張ってやりたい人もいる。握手をしたい人もいれば……思い出す面々は様々だ。

もちろん後悔もある。いや、今となっては後悔の方が大きいかもしれない。あのときああしていたら、そのときこうしていたら。みんなと連絡先をキチンと交換していたら、もっと英語ができて色んなコミュニケーションが取れていたら、家事をもっと手伝ってあげていたら、もっと自分から自分の考えを発信できていたら、etc.etc.etc.etc.etc.etc.…………一度渦を起こすと、際限なく広がっていく。

だけど一つだけ、胸を張って言えることがあるとすれば。

今後の人生で、バンクーバーに降り立ったことを後悔することはもうない。

ココアの粉とジェイソンくんも、タイ米とアドボも、鮮やかなレモネードも、午後8時の夕焼けも、ベネズエラの男の子も、中華街とおばあちゃんも。

あの全ての思い出は、自分の中にあるし自分の中にしかない。

そう考えると物凄い贅沢だ。世界中でたった一人、自分だけのもの。

そんな贅沢を噛み締めながら、カーテンを閉めよう。これからやってくる夜を過ごす準備をしよう。

いつかまた行きたいなぁ。バンクーバー